ゼニカルとジェネリック薬の違い

ゼニカルとは?

ゼニカル(オルリスタット)は、ロシュ(F. Hoffmann-La Roche Ltd.)という製薬会社によって開発されました。

その成分であるオルリスタットは、1990年代初頭に製薬企業ロシュによって研究され、その後、肥満治療のための新しいアプローチとして注目されました。

オルリスタットの発見は、脂肪代謝における特定の酵素であるリパーゼの阻害に焦点を当てたものでした。この酵素の働きを制御することで、脂肪の吸収を減少させ、体重管理に寄与する可能性がありました。

1998年、ロシュはオルリスタットを有効成分とした肥満治療薬として「ゼニカル」として初めて発売しました。その後、ゼニカルは世界中で広く使用され、肥満の治療において一定の成功を収めています

ゼニカルのジェネリック薬

ゼニカル(オルリスタット)のジェネリック薬は、オルリスタットと同じ有効成分を含みながら、他の製薬会社によって製造・販売される類似の薬です。

ジェネリック薬は特許が切れた後に市場に登場し、通常は先発薬と同じ成分・効果を持ちながらも、価格が比較的安価であることが特徴です。

日本で販売しているゼニカルのジェネリック薬

現在日本ではゼニカルのジェネリック薬は販売されていません。

大正製薬の「アライ」

2023年に、日本で唯一オルリスタットのダイレクトOTCとして製造販売承認そ取得したのが大正製薬です。

ダイレクトOTCとは
OTCは「Over-The-Counter」の略で、カウンターや店頭で購入できる医薬品を指します。通常、これらの医薬品は処方箋が不要で、一般の消費者が手軽に入手できるものです。

公式ホームページでは2024年春の販売を目処に開発をすすめているとのことなので、今後は薬局で気軽にオルリスタットを購入できるようになります。

海外のゼニカルジェネリック薬

日本ではまだ普及していませんが、海外にはゼニカルのジェネリック薬が複数存在します。

  • オイダス(センチュリオンラボラトリーズ・インド)
  • オルリガル(シグネチャーファーマ・インド)
  • スリムトリム(ジャーマンレメディーズ・インド)
  • オベリット(インタス・インド)

ゼニカルと同じ成分・同じ効き目でありながら、ジェネリック薬のため安価なことが特徴です。

インドのジェネリック薬が多い理由

インドは医薬品の製造で世界的に注目を集めており、あらゆる医薬品のジェネリック薬が作られています。

一般的にジェネリック薬といえば、特許が切れた医薬品から作られますが、インドでは特許が切れていない医薬品であっても、ジェネリック医薬品が作られています。

インドでの法的枠組み

インドが特許が切れていない薬のジェネリック医薬品を製造できる主な理由は、1特許法の変更により、特許の保護期間終了後でも国内市場向けにジェネリック薬品を製造できるようになったことが挙げられます。

  • 特許法の変更: インドはかつて、製薬企業が特許を持つ薬品を製造する権利を制約する法律を制定していました。しかし、この法律は1995年に変更され、特許の保護期間中でも国内市場向けにジェネリック医薬品を製造できるようになりました。
  • 特許保護期間外の生産許可: 特許の保護期間が満了すると、他の企業が同じ薬品をジェネリックとして製造できるようになります。インドの法律では、特許の保護期間が終了すると、他の企業に特許を侵害せずに同じ薬品を生産する権利が与えられます。
  • 法的手続きの簡素化: インドでは、特許の保護期間外であれば、迅速で効率的な法的手続きを通じてジェネリック医薬品の生産許可が取得できます。これにより、企業はすぐに市場に参入できます。
  • 低コストでの提供: インド政府は、特に重要な医薬品において特許の保護期間が終了すると、より多くの企業が低コストで製品を提供できるようにし、医薬品のアクセスを広げる方針を採っています。

この変更により、他社は特許侵害なしで同じ薬品を生産でき、法的手続きも簡素化されました。政府はアクセス向上を重視し、特許保護期間終了後に多くの企業が低コストで医薬品を提供できるよう促進しています。

インド製ジェネリック薬のメリット・デメリット

ゼニカルだけではなく、他の医薬品でも多く見かけるインド製のジェネリック医薬品ですが、以下のようなメリットとデメリットがあります。

■メリット

  1. 低価格: インドのジェネリック医薬品は、原薬の特許が切れているため、開発コストが低く低価格
  2. 購入のしやすさ: 安価であるため、手軽に医薬品を購入できる
  3. 種類の豊富さ:メーカーや種類が豊富なため、ライフスタイルにあわせて選択できる

■デメリット

  1. 品質のばらつき: 市場には多くのメーカーが存在し、品質管理が不十分な場合があります。一部の小規模メーカーは品質のばらつきが生じる可能性があります。
  2. 特許侵害: 特許の切れていないものを製造する一方で、特許期間中の製品を模倣することが特許侵害である場合があります。
  3. 安全性の懸念: 一部のジェネリック医薬品においては、品質や安全性に対する懸念があります。安全性を確保するためには信頼性のあるメーカーからの購入が重要です。

海外からの個人輸入で、偽物や製品の効果にばらつきがあったり、パッケージ破損や保管が悪く安全性が不十分なものなど、多くのトラブルが発生しています。購入の際には、販売サイトやメーカーが信頼できるかどうかの判断が必要になります。