オイダスの作用機序
オイダスの主成分であるオルリスタットの主要な作用機序は、リパーゼと呼ばれる酵素の活性を可逆的に阻害することです。
リパーゼとは?
リパーゼ(lipase)は、脂肪を分解する重要な酵素の一群です。臓、小腸、および他の組織で合成される酵素で、脂肪を分解して摂取された脂肪を吸収可能な成分に分解する役割を果たします。
消化器系での作用
オルリスタットがリパーゼと結合することで、この酵素の働きが一時的に抑制されます。
リパーゼは通常、摂取した脂肪を吸収可能な形に分解しますが、オルリスタットの作用により、この分解が制限されます。未分解の脂肪は吸収されず、代わりに体外に排出されます。
このため、食事から摂取される脂肪の一部がカロリーとして吸収されないことになります。
脂肪吸収の抑制は約30%
オルリスタットによる脂肪吸収の抑制は約30%に及びます。
1日3回、各食事前に120mgのゼニカルを摂取することで、食事からの脂肪吸収が効果的に制限されます。未消化の脂肪が排出されることで、体内に取り込まれるカロリーが減少し、体重管理や肥満治療に寄与します。
このメカニズムを理解することで、オイダスの利用者は食事とともに効果的な摂取を行い、健康的な体重管理をサポートできます。
オルリスタットの有効性
オイダスの先発薬であるゼニカルの臨床試験データによれば、治療開始後2週間以内に体重減少が観察され、6〜12ヵ月間持続しました。
5つの臨床試験をプールしたデータによれば、治療意図のある集団では、ゼニカルの投与群で治療開始6ヵ月後および1年後までの平均体重減少量が5.6キロでした。
治療開始後1年間の体重減少は、XENICAL投与群で5.6キロ、プラセボ投与群で2.8キロでした。4週間のプラセボ投与期間中にも2〜3キロの体重減少が観察されました。
1年間の治療を完了した患者のうち、ゼニカルを投与された患者の57%がベースライン時の体重の少なくとも5%を減少させ、これはプラセボ投与群の31%よりも多い割合でした。
大規模な試験では、1年後に治療群で5%以上および10%以上の体重減少を達成した患者の割合も示されました。
リバウンドに対する効果
ゼニカルにて、ゼニカルでの治療後、もしくは食事療法のみによって体重が減少した後の体重の再増加抑制についての臨床試験が行われています。
食事療法のみによる再増加抑制
- 食事療法のみで体重が減少した患者において、ゼニカルを投与された患者は以前に減少した体重の32%を回復し、プラセボ群は53%を回復した。ゼニカルが体重の再増加を抑制する効果を評価しました。
ゼニカルの前治療による再増加抑制
ゼニカルの前治療を受けた患者において、2つの試験を実施。
- 1つ目の試験ではプラセボを投与された患者は以前に減少した体重の52%を回復したが、ゼニカルを投与された患者は26%にとどまり、ゼニカルが再増加を抑制。
- 2つ目の試験では、ゼニカルを投与された患者は以前に減少した体重の35%を回復したのに対し、プラセボ群は63%を回復した。
これらの結果から、ゼニカルは前治療や食事療法のみによって体重が減少した患者において、体重の再増加を抑制する効果があることが示唆されています。
脂質異常の患者に対する有効性
脂質異常値を有する患者について、ゼニカル治療の有効性についての臨床試験が行われています。
LDL-コレステロール(LDL-C)および LDL/HDL比
- ゼニカル群では、LDL-Cが約7.83%減少し、プラセボ群では約1.14%増加しました。また、LDL/HDL比もゼニカル群では約0.64減少し、プラセボ群では約0.46減少しました。これらの結果から、ゼニカルが脂質異常値の改善に寄与したことが示唆されます。
HDLコレステロール(HDL-C)
- HDL-Cはゼニカル群では約18.8%増加し、プラセボ群では約20.1%増加しました。ゼニカルがHDL-Cの向上に寄与したことが示されています。
血圧の変化
- 血圧異常を有する患者において、ゼニカル群では収縮期血圧(SBP)がプラセボ群よりも大きく減少しました。SBPではゼニカル群で約10.89mmHgの減少が見られ、拡張期血圧が90mmHg以上の患者においてもゼニカル群がプラセボ群よりも血圧の減少が大きかったことが示されています。
インスリンおよびウエスト周囲径の変化
- インスリン値がベースライン時に異常であった患者において、ゼニカル群では1年後までの間にプラセボ群よりもインスリンの減少が大きかったです。また、ウエスト周囲径もゼニカル群でプラセボ群よりも大きく減少しました。
これらの結果から、ゼニカル治療が脂質異常値や血圧などの健康パラメータに対して良好な効果を示しており、特に心血管リスクを低減する可能性が示唆されています。